
【実録】たぬきの祟りは本当にあるのか?——動物霊の専門取材で明かされた“血を辿る怨念”
動物霊の取材中に聞いた「たぬきの祟り」にまつわる実話
これは、私がある日「動物憑き」に関する奇妙な調査依頼を受けたことから始まります。
動物プロダクションの代表として、普段は演出や動物行動学といった“現実”の領域で仕事をしている私に、
なぜこんな“霊的な案件”が寄せられたのか——
その理由については、またの機会にお話しできればと思います。
調査を進めていく中で、私はひとりの不思議な女性と接点を持つことになります。
その女性は、神職でもなく、いわゆる霊能者でもありませんでした。
ただ、静かに動物たちの魂と向き合い、亡くなった命の声を感じ取りながら、
ひっそりと供養を続けている人でした。
そして彼女の口から語られた話の中で、特に強く印象に残っているのが——
「たぬきの霊は、非常に強いのよ」という、重く、深い言葉でした。
「たぬきの祟り? そんなの作り話でしょ?」と笑う前に
彼女はこう語りました。
「たぬきの祟りって、よく作り話だって笑われるでしょう?
でもね、私のところに来る相談で、たぬきに関係してるのは意外と多いんですよ。
轢いてしまった、石を投げた、罠にかけた…。
そのとき何も起こらないから、みんな忘れるんです。
けど、“あれ”らはじっと見てる。ずっと、忘れてない」
実際に相談者から寄せられるのは、こんな体験談です:
車でたぬきを轢いた数年後、家族に事故が続いた
子どもの夢に毎晩“たぬき”が出てくるようになった
家族が次々と病に倒れたが、原因が分からなかった
「すぐには何も起こらない。でも…」
霊視者は、こう続けました。
「そう、すぐには何も起こらないことが多い。
でもね、“あれ”らはじっと見てるんです。
どこに逃げても、どれだけ時間が経っても、忘れない。
人間が“もう終わった”と思ったあとでも、向こうは“始まってすらいない”こともあるのよ」
そして、彼女が口にした言葉が私の中に深く刺さりました。
「たぬきの霊は、強いのよ。
“怒り”より“悲しみ”が強いから。
しかも、自分を殺した人の“血の流れ”を追って、家族に寄り添ってしまう。
ずっと、ずっと…何世代先までも。」
“そこにいる”たぬきの霊
彼女によれば、たぬきの霊は人に姿を変えたり、家の中に“ただ居る”こともあるといいます。
誰にも気づかれず、家の隅に座り、子どもの肩に乗り、
静かに、確実にその家庭の運命を狂わせていく――。
家が火事になった
子どもが失踪した
家庭が崩壊していった
いずれも、最後に夢に出てきたのは「たぬき」だったそうです。
無表情で、黒くぽっかりとした穴のような目をして。
「祟りを鎮めるには?」
私が「その祟りは、どうすれば解けるんですか?」と尋ねると、彼女は静かにこう答えました。
「本当に悔いて、心から詫びること。
できるなら、あの子たちが安心して眠れる場所に“祈り”を送ること。
でもね…わかってる人ほど、そんなことは最初からしないのよね」

あとがき|動物プロダクション代表として、この話を記録に残す理由
動物プロダクションとして日々、多くの命と向き合ってきました。
動物たちの行動には理由があり、感情には背景がある。
私はそうした“見える世界”の仕組みを知り、伝えることを仕事にしてきたつもりです。
けれど今回の「動物憑き」の依頼を受けたとき、
そして、あの霊視者の女性と出会い、「たぬきの霊は非常に強い」という言葉を聞いたとき――
それまで積み上げてきた自分の“常識”が、ふと揺らいだ気がしました。
動物の命を軽んじたとき、
それがただの事故や偶然で片付けられたとき、
その“忘れられた痛み”が、どこかで静かに、形を変えて現れているのだとしたら。
人間は気づかないふりが得意です。
でも、たぬきたちは忘れていません。
怒りよりも悲しみを抱いたまま、
“血の流れ”に寄り添いながら、いつか赦される日を待っているのかもしれません。
科学や理屈だけでは測れない“命の気配”が、この世には確かに存在する。
今回の取材を通じて、私はそんな“見えないもの”に耳を傾けることの大切さを、
あらためて考えさせられました。
たぬきの目が、まっすぐにこちらを見つめているとき——
そこに何が映っているか、あなたは想像できますか?